著者プロフィール
茂木 健太
Co-Creations株式会社 代表取締役 合宿人代表
プロコーチ、組織開発コンサルタント、ベンチャー企業の人事責任者として活動する中で、10年以上に渡り、経営合宿や全社合宿の企画・ファシリテーションを実施。
2022年に「最高の合宿を起点に最高のチームをつくる」合宿人を立ち上げる。
毎週のように行く合宿を中心に、ベンチャー企業から大企業までの組織の成長の壁を突破を支援している。
みなさんは経営合宿についてどんなイメージをもっているでしょうか?
ただの旅行のように楽しだけのものもあれば、会議室に缶詰となって白熱した議論が繰り広げられるものなど、さまざまだと思います。
我々、合宿人(がっしゅくじん)では10年以上にわたって、経営合宿や全社合宿の企画からファシリテーション、合宿後の組織開発まで、数多くの企業やチームをサポートしてきました。
その中でも、最重要と言える経営合宿について、本ガイドでは目的・テーマ、場所選びから進め方までの全てをご紹介していきます。
本ガイドを活用いただくことで、経営チームで合宿をやってみたい、やっている人向けに、場所やアジェンダだけでなく、最高の経営合宿を創るためのポイントがわかり、実際に合宿を企画して、行くことができるようになります。
主に経営チームでの経営合宿について書いていますが、どんなチームでも適用できますので、ぜひ参考にしてみてください。
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1. 経営合宿とは何か?意義と目的を理解しよう
経営合宿とは、組織の経営陣で行く合宿ですが、マネージャー層も含めた幹部合宿や、メンバー層も含めた全社合宿で、ビジョン・パーパスや戦略など経営上の大事なことを扱う合宿も広義で経営合宿と呼びます。
例)30人全員で会社の未来を語る全社経営合宿
また、合宿というと宿泊で寝食を共に過ごすイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、いきなり泊まりと言われてもハードルが高いと感じるようでしたら、宿泊しなくとも半日〜1日のオフサイトでのミーティングなどで十分です。まとまった時間を確保し、普段の仕事から離れて大事なテーマについて扱うことも経営合宿と呼んでいます。
せっかく時間とお金をかけて行う経営合宿の成果を最大化するために、普段の経営会議や旅行の延長ではなく、行く前と後では後戻りすることのない大きな変化が起こる合宿にしていきましょう。
本ガイドでは、そのように経営合宿を成功させるために、事前準備から実施、アフターフォローまでやり方について、ご紹介していきます。
また2020年のコロナ禍以降、リモートワークが増えたことで、好きな場所に行って働くワーケーションという働き方も増えてきていますが、ワーケーションは普段の仕事を別の場所でやることであり、合宿とは別のものと考えます。
昔からよくある社員旅行というものも、福利厚生やレクリエーションの一環として、合宿とは違うものと考えています。合宿には新人芸などは強要されません。
目次
2. 経営合宿のテーマ・アジェンダの立て方
さあ、経営合宿をやろう!と言った時、何をテーマにすれば良いのでしょうか?
キャンプや温泉に行くだけというのも仲良くなって悪くはないですが、それだと単なる旅行と変わりません。
経営合宿を起点に変革を起こしていくみなさんなら、なぜ経営合宿をやるのか?そのためにどんなテーマを扱うのか?から考えることが大事です。
テーマとしては、普段の経営会議の延長ではない、未来に向けて重要だが緊急ではないことを話すのが特におすすめです。
例えば、
・ビジョンやパーパスを描く
・事業の戦略、プロダクトのロードマップを描く
・新規事業を企画する
・相互理解を深め関係性を進化させる
などがありますが、普段の経営会議と同じモードで会話をしても、同じ会話の質にしかならないので、 お互いの人生ストーリーや価値観を語り、相互理解を深めてから、未来について話すなど、普段あまり話さないが大事なことを深く扱っていきます。
合宿人が提供する合宿プログラム「未来合宿」でも、この流れをベースにしています。
1. 導入:合宿への意気込みの共有
2. 相互理解を深める
3. 理想の未来を描く
4. 理想の未来の実現に向けた戦略テーマを出す
5. 各戦略テーマについて議論
6. 各自の決断とコミットの表明
3. 経営合宿を実施するタイミングは?単発でなくサイクルで計画する
日々膨大なやることで忙しい中で、経営合宿はどんなタイミングでやるといいのでしょうか?
経営合宿は単発ではなく「重要であるが緊急ではない経営テーマを話す場」として広く捉えます。
普段、経営会議など集まって話す場があると思います。その何回かに1回の経営会議を、普段の時空間から離れ、経営会議のロングバージョンとして、経営合宿へと拡張させるのがおすすめです。
1-2週間の間隔で経営会議を実施しているのであれば、
・月に1回は、半日〜1日のオフサイトでの経営合宿を実施
・そして1泊の経営合宿を3-6ヶ月に1回実施
など、経営で大事なテーマを扱う場全体として、会議→会議→合宿といった具合にリズムを作っていくのがおすすめです。
このように時間、場所、テーマによってサイクルを決めて継続的にに実施するのが理想ですが、
経営合宿を特別に実施した方が良いというタイミングがあります。
それは、
・新たな経営陣が加わったり、役割を変更する時など、経営チームの構成メンバーが変わるタイミング
・組織の人数が10人→30人→50人→100人と成長していく際、いわゆる「組織の成長の壁」を越えるタイミング
などでは、これまでの延長線ではない個人やチームとしての進化が必要となります。 そのため、これから新たなステージへとチャレンジをしていくための決起集会や儀式としても、実施することを強くおすすめします。
また、これまで合宿をやってこなかったのに、組織が30人になったタイミングで、いきなり合宿をやろうと提案しても、周りからの反発や無関心に合うことも多いので、創業時から大事なことは合宿で話すという合宿文化を最初から創っておくと、合宿を起点とした組織の進化を起こしやすくなります。
4. 日程の決め方は?金曜を起点にする
いつ経営合宿に行くか?と考えた時、結論から言うと、土日が休みなのであれば、 1泊では金-土、日帰りであれば金曜日と、華の金曜日を中心に考えましょう。
平日2日間は業務を止めるのにかなりの調整が発生し、休日だと家族やプライベートの時間が潰れてしまい、金-土にすれば双方1日の調整で済むのと、何より土日に比べて金土にするだけで交通渋滞にもハマらず、現地も空いています。中には貸切状態なんてことも多いです。
また、経営合宿で密な話をすると心身共に疲れはたまるので、休息も必要で、土曜に帰って来れれば日曜はゆっくり休むことができます。
5. 経営合宿の場所の選び方
合宿人では合宿場所として「豊かで気持ち良い環境」で行うことを推奨しています。
いつものオフィスや自宅から、非日常の気持ちの良い環境に変えるだけでも、普段の仕事モードから切り替えられることができます。
気持ち良い環境というのは、季節によって変わるので、真夏であれば涼しい山や高原、冬であれば温暖な南の方や温泉を楽しむなど、ベストシーズンを狙いましょう
また、経営合宿での話す時間を有効に活用したいので、施設のチェックイン、アウト時間に融通が利くこともポイント。
通常の宿泊施設では15時チェックイン、10時チェックアウトであることが多いですが、10時に追い出されるようにチェックアウトすると、そこから何かしようにも、どこか寄ってお土産買って帰るような感じで終わってしまい、もったいないですね。
1泊の場合、初日は午前10時位からセッションが始められて、チェックアウト後も翌日の夕方くらいまで使えるのが理想です。帰りに現地の名店で一緒に夕食食べて振り返ってから帰るのもいいですね。
それから貸切空間であることも重要です。一棟完全貸切ができるとなると選択肢が限られるのですが、プライベートな空間は保たれるようにしたいです。
これは、経営合宿という自分たちの神聖な空間を保つのに大事になります。大型温泉旅館なんかで他のお客さんが横で浴衣で宴会なんかしていたら冷めてしまいますね。
そしてに大事なのが「周りを気にせず安心して過ごせる」こと。これはプライベート空間が確保できないと施設や他のお客さんに迷惑をかけてしまったり、そうなることを懸念して余計な気を遣ったり抑えてしまったりすることがあるので結構大事です。といっても羽目を外し過ぎて迷惑はかけないようにしましょう。会社の信用を損ないかねません。
また、家を出てから帰るまでが合宿ですので、移動時間も大事です。
経営合宿に正味どれ位の時間を使いたいか?から、移動距離、施設で過ごす時間を決めます。
大体、1泊2日だと2-3時間以内、日帰りだと1時間台の移動距離が程よいです。
例えば東京駅を出発とすると、
・1泊では熱海や箱根、軽井沢、山梨では富士五湖辺りや、群馬のみなかみ、栃木の日光などもおすすめです。
・日帰りでは、湘南や高尾山、千葉の内房辺り
・2泊以上確保できる場合はあまり気にせず、沖縄や北海道、海外も含め行きたい所に行きましょう。
車を出せる場合は、行きの車から一緒に話しながら行くなんていうのも、移動時間も経営陣で話す時間に使えるのでいいですね。ただし運転には十分に気をつけていきましょう。
20人位の規模になるなら、バスをチャーターするのも良いです。
車を出さない場合は、電車など公共の交通機関で行きやすい場所にします。
6. 経営合宿でのアクティビティ企画:やりたいことをやりましょう
合宿場所選びのポイントとして、「どんな体験をしたいか?」から選ぶのも大事です。
ずっと会議室に缶詰もいいですが、議論が煮詰まったりするので、リフレッシュという意味でも行く先ならではの体験をするといいですし、何より「経営陣としてこうあるべき」というhave toから解放されて、自分たちが「やりたい」「いきたい」というwant toで楽しみに思えることが大事です。
・海や山や島の大自然を味わう
・温泉やサウナでととのう
・現地名物の美味しいご飯やお酒
・焚き火をエンドレスにできる
・温かい適度なホスピタリティ
・地域の人たちとの交流と創発
・アートや建築に触れて感性を研ぎ澄ます
・祭・イベントで盛り上がる
他にも、ヨガやトレッキング、川を下るラフティングから、バンジージャンプなど、
やりたいことを合宿に盛り込んでいきましょう。
せっかくの合宿でいい所へ行くのだから、ご飯も充実させたいですね。もちろん行った先ならではの美味しい食べたいものを食べたらいいのですが、BBQなど自分達で準備するかどうかもポイントです。
経営合宿のセッション時間を多く取りたいのであれば、ご飯は施設で用意してもらうのがいいでしょう。あえて自分たちで用意して一緒に作る感を重視するのであれば、BBQなどもいいと思います。ただし、フルキャンプなどでは要注意なのが、テントとタープを立てて、ご飯も用意して、片付けもしてとなると、結構それだけで時間一杯使ってしまい、せっかくゆったり話しにきたのに、いつもより忙しいなんてことも多々あります。
キャンプの場合は2泊にする、1泊の場合は朝には現地についておくなどの工夫が必要です。キャンパーの方々にはこの辺の過ごし方が上手な人が多いので、キャンプを1つの経営合宿のスタイルとして追求するのも楽しいですね。
7. 経営合宿の事前準備
さあ、場所と日程が決まったら後は当日を迎えるだけ、それだけでは、せっかくの合宿も普段と同じモードにちょっと解放感を感じるだけで、ダラダラ過ごしてしまうなんてこともよくあります。
そうならないためにも経営合宿では事前の準備が大事です。
当日どんな時間にしたいのか?どんなテーマを話したいのか?を事前課題として出して、各自イメージしてくるというのも大事です。
・相互理解を深める事前ワークとして、各自自分の価値観やこれまでの人生ストーリーを棚卸ししてくる
・会社だけでなく個人の理想の未来をイメージしてくる
・経営合宿のテーマとなる戦略テーマについて、課題感と解決策の案を考えてくる
など
またできれば、合宿の直前の経営会議をプレ合宿と位置付け、どんな経営合宿にしたいか?を話しておくことで、当日の合宿に向かう意図をつくれるとより良いです。
とはいえ、普段の経営会議では話すことは山ほどあると思いますので、別途2時間ほど時間を設けるのもさらにいいと思います。
8. 用意する物:現地にあるか確認しておきましょう
明確に使うものと、いざという時に使えるものが合宿場所にあるか確認し、なければ持参するようにします。
・サインペンとポストイットの他、A4の白紙を持っておくと便利です。
・名札はあえて「読んで欲しい名前」「最近好きなこと」など人柄がわかるように
・ホワイトボード、プロジェクター、スクリーンは必要に応じて
・スピーカーで好きな音楽を掛けるといいでしょう。spotifyおすすめ
・ドリンク・お菓子
・他、ゲーム等、合宿を盛り上げるために持っていきたいもの
また、持ち物以外にも、机と椅子がどう動かせるかの確認もしておきましょう。
この時に固定された会議室だとどうしても普段の経営会議が想起されて堅い雰囲気になりがちです。
9. 経営合宿の過ごし方1:経営セッション
さて、いよいよ準備万端でしたら経営合宿当日を迎えます。
経営合宿では、お互いの相互理解や理想の未来とその実現に向けた戦略テーマの話がメインディッシュとなります。
PCを開いたりスマホを手にし、チャットツールなどのやり取りをしながらの参加だと、せっかくの経営合宿も普段の仕事の臨場感を持ち込んでしまい、大事な話に集中できません。できれば合宿中はデジタルデトックスの意味も込めて、PCやスマホを手放す、少なくともセッションには見ないようにして、経営合宿の話に集中するのをマストにします。
また、アジェンダの進行において、これからの未来のために今何を話すのが大事か?というのは生き物のようなもので、瞬間瞬間で変わっていくもの。経営でも合宿でも、限られた時間の中で意思決定していくという所は一緒です。そのため、用意されたアジェンダ通りに進めることに拘らず、その時何に時間を使うか?を判断し、柔軟に変えていくのがポイントです。
イマイチだと思うのが、経営企画や人事の人が一生懸命アジェンダを詰め込んで、時間通りに淡々と司会進行してしまうケース。こんなこと起きていたりしませんでしょうか?
このようなことが起こらないためのポイントは、次のファシリテーターのパートで記述します。
10. 定番のワーク
経営合宿で変化をつくりに行くのであれば、どんなワークや議論をするにしても、普段の会話よりも未来志向でかつ深くいくのが重要です。
その際にポイントとなるのは、どこまで自分と相手の「本音」にアクセスできるかです。
これもアジェンダでは色々なテーマを扱っていく流れがありながら、「普段思っていたけど伝えられた」など、誰かが思い切って自己開示することから、他のみんなもどんどん普段の鎧を脱ぎ捨ててオープンに話せるようになっていく。といったことが起きてきます。
普段が仕事だけのつながりであると、いきなり「自己開示タイム」といっても、最初は言いやすいことだけが出てくるかもしれませんが、合宿のどこかで自己開示の連鎖が起きれば大丈夫です。焚き火を囲んでる時なんか自然に起きやすいですね。
・相互理解を深める:価値観・強みにまつわるストーリーテリング、ストレングスファインダー、ロールチェンジプレイ等
・理想の未来を描く:未来年表、未来ディベート、理想の未来の演劇ワーク
ファシリテーションをする際に大事にしているのが、テーマとアジェンダを最初用意はするものの、いざ経営合宿が始まったら、その瞬間何をするのが未来にとって最もインパクトが大きいか?という感覚で、次に何をやるか?を決めています。
11. 経営合宿の過ごし方2:テーマに合わせた体験プログラム
せっかく場所を変えるなら、その場所ならではの自然やアトラクションも入れるのもいいです。
それもただ遊びを入れるよりも、経営合宿のテーマに合わせた体験を入れたい所です。
実際にやってきたことの一例を挙げると、
- 起業家達との沖縄合宿で、森の奥深くにある滝までトレッキングし、滝壺に飛び込むことで、チャレンジへの恐れを超える(note記事はこちら)
- 山梨の山頂近くのロッジから、夜に山頂まで暗闇を歩き、たどり着いた山頂で満点の星を眺めながらビジョンをイメージする
- 真冬の早朝に海に入ることで心身を引き締める
など、エクストリームな体験もありますが、安全第一でやりましょう。
12. 経営合宿中の過ごし方3:「間」の時間の有効活用
アジェンダ外の「間」の時間を有効活用する
経営合宿においては、普段のミーティング続きと違って、セッションの休憩や食事やお風呂やその合間など、「間」となる時間がたくさんあるのがならではです。
この「間」となる時間をどう使うのか?が実はとっても大事です。この間の時間に、普段の仕事をしてしまったり、オンラインミーティングを入れてしまうのはもったいないです。
なぜなら、セッションで話したテーマは、普段考えていない話していないことほど、そのセッション後に消化したり、新たなひらめきに繋がったりする時間となるからです。
ですので、この「間」の時間を有効活用するためには、セッション後に五感を解放して豊かな自然を味わう散歩や瞑想など、ボーッとする時間をつくるのがおすすめです。
どうしても普段の仕事をする必要がある場合は、この30分で緊急度が高い仕事は片付けてしまおうと、時間を決めておくといいです。30分で何とかすると期日効果が発動されて、生産性も上がると思います。
13. 合宿中の過ごし方4:合宿の夜の演出
合宿の夜も油断せずにハックします。
合宿ならではで楽しみでもある、美味しいものを食べて、温泉入って、お酒も入って、いい気分になり、みんなで未来をエモく語り合うはいいのですが、酔いが深くなってくると、普段の飲み会のようなモードになってしまうのも要注意。せっかく日中のセッションで未来に臨場感が行ったのに、普段の人間関係なんかが出て、戻ってしまうことも多々あり、油断できません。
また夜遅くまで飲み過ぎて、翌朝ゾンビのようになってしまうのも避けたいですね。
こんな時は、焚き火を囲むのはオススメ。焚き火の前だとなんか素の自分がでて、沈黙もいい時間になるんですよね。「実はこんなことをやりたい!」と1人の自己開示が場を大きく動かすこともしょっちゅうあります。 そして焚き火を囲んだお酒は悪酔いしないという、まだ実体験ベースでの焚き火マジックもあります。
さらに、みんなの好きな音楽をかけるのもさらにおすすめです。音楽と記憶も結びつきやすいので、合宿後にあの音楽を聞くと、合宿で未来を語った臨場感が蘇ります。
合宿人では合宿人Nightパックとして、DJを呼んでみんなでビジョンやパーパスをイメージしながら、盛り上がったり、ゆったりくつろいだりする演出も始めています。
14. 経営合宿の質を決めるファシリテーターの役割
経営合宿ではファシリテーターがとても重要です。
ファシリテーターは単なる中立的な司会進行役ではなく、目的とテーマに向けて経営合宿という場と参加する人たちから、何を創り出すか?を担う役割となります。
経営合宿の質は、参加者のコミットはもちろん、それらを十分に引き出して創り上げるファシリテータの関わり方にかかっています。
まずは社内でも社外でも、明確にファシリテーターという役割を任命しましょう。
ただし、合宿の幹事や事務局の流れででファシリテーターを経営企画や人事の人が担い、経営陣に物申しにくかったりすると、大事だけど話しにくいことに踏み込んでいくのは難しいです。 また、声の大きな経営トップがファシリテーターをやると、トップに忖度をした意見や当たり障りのない話に終始してしまうことも多々あります。その場合は各自のwant toは抑えられ、合宿そのものにhave toが蔓延してしまいうまくいきません。
ファシリテーターは参加者との信頼関係があり、かつ経営陣がお互いのことをぶっちゃけどう思っているか?など、話しにくいけど大事な話にも踏み込め、必要に応じて議論の中身にも入ってリードします。
ファシリテーションでのコツはたくさんあって書ききれませんが、ひとつだけ挙げるとすれば、「予定調和を崩し、カオスを起こして、場から何かを共創する」ことと考えています。
つつがなくアジェンダ通りに進行し、予定調和の結果に収まるだけでは、そもそも経営合宿としてやる意味があったのか?となってしまいます。
チームの進化においては、普段の関係性や会議のやり方といいった強固なコンフォートゾーンを超える必要があるのです。
このようなを創り出せるファシリテーターが望ましいですが、社内で担える人がいないのであれば、プロのファシリテーターに依頼するという手もあります。
また、ファシリテーターだけでなく、メンターとなる先輩経営者やテーマに合わせた専門家などをメンターとして呼び、必要な知見を借りるのも推奨します。
15. 経営合宿後のフォローアップ
1回の経営合宿で、経営陣の熱量は大きく上がったものの、月曜から日常に戻った途端、徐々に熱は冷め、いつのまにか元の状態に戻ってしまうことも油断すると起こります。せっかく経営合宿で話したテーマが話しっぱなしでお蔵入りしてしまっては意味がありませんね。 また、理想の未来のイメージや戦略テーマの全てが十分に話され、結論が出るなんてことはありません。そのため、合宿で話した続きをどう扱っていくか?を決めることが大事です。
以下のようにテーマの内容と検討状況に合わせて、続きをどうするかを決めておきましょう。
・経営陣で担当を決めて進めるテーマ→担当を割り振って進め、次の経営会議で共有
・結論が出ず継続的に話すテーマ→経営会議など次回話す場を決める
・中長期的に話し続けるテーマ:ビジョン・パーパスなど→次の何ヶ月後かの経営合宿へ
16. 経営合宿から全社の変革へとつなげるポイントは?熱量を全社に伝播する
経営合宿をやって、経営陣に火がついて加速していくと、合宿に参加していないメンバーとの温度差や視座のギャップが目立っていくことも多いです。
従業員のエンゲージメントが低い組織では、「現場は忙しいのに、経営陣はよく集まっているけど、一体何をやっているんだろう?」という不満の声が出てくることもよくみられます。
どんな経営合宿であったのか?のプロセスとアウトプットを、合宿後の全社ミーティングや各チームのミーティングで合宿での検討結果をオープンにシェアしていくのも大事です。
全社に共有するとなると、いい意味での責任感も起こり、合宿でも真剣さをますことにつながります。
さらに全社へ伝播させるためには、経営合宿の後の良いタイミングで全社合宿を行うことで、経営合宿で着いた火を一気に全社へ広げることにつなげられます。
<未来合宿事例>
合宿にて海外進出を決意!全員で理想の未来を描いてジャンプ〜アンジェラックス 未来合宿〜
17.「経営合宿に行こう!」と言い出すのもリーダーシップ
経営陣の誰かが経営合宿をやりたいと思っても、他の人から反対の空気を感じると、中々言い出せなかったり、一度でも反対されると2度と提案できなかったりすることも数多くあります。
合宿に行こうと提案するのも、周りを巻き込んでいつもと違うことして変わろうというリーダーシップが必要となります。
これまで合宿になんて話題に上がらなかったチームが、経営合宿に行くとなった時点で、大きな変化は始まっていると言えます。
経営陣が普段はオンラインばかりで集まりもしていなかった場合、最初からいきなり泊まりで合宿に行こうとならなくても、まずは普段話せていない大事なことを、いつもと場を変えて話す。 まずはこれから始めるだけでも大きな進歩です。
18. まとめ:経営合宿を活用して企業成長につなげよう
合宿人では、これまで経営合宿も全社合宿が、組織の壁を突破し、組織と事業が進化していく起点となる瞬間に何度も立ち会ってきました。
もちろん未来に向けて、いい議論ができていいアウトプットが出るのは大事なのですが、
いい経営合宿をやることで、
・経営陣がお互いを深く理解した上で、健全な議論ができる「関係の質」が高まり、
・現状の延長ではない理想の未来を描きリアリティを高めることで「思考の質」が高まり、
・理想の未来の実現に向けた今日からの具体的なチャレンジが生まれ「行動の質」
・最高の合宿を全員で創ることができたという「結果の質」
これらのように成功の循環を加速させることができますし、
いまいちな合宿であると、それが逆回転してしまうことにもなります。
読んでいただいたみなさんで、まだ経営合宿をやっていない方はぜひ本記事を参考に提案してみていただき、すでにやっているチームではより良い経営合宿をするために活用いただけたらと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
こちらを読んだみなさんが、最高の経営合宿を体験することへお役に立てたらうれしいです!
Co-Creations株式会社
代表 茂木健太
Twitter: https://twitter.com/Kenta_Motegi
note: https://note.com/moteken
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